地上戦の技振り、技の三すくみ
・はじめに
こんにちは。
今回から本格的に、基本的な技の振り方について解説したいと思います。
もちろんストリートファイターVにも共通している基礎的な仕組みです。
ただし先にネタバレをしてしまうと…
ストリートファイターVではこの仕組みは少し“破綻”してしまっています。
ただ
「何故破綻しているのか」
という話を理解するためにも通った方が良いのではないかと考えています。
何事も歴史や変遷を知ると、それの持つ固有の価値や変化を楽しめるようになり、より楽しむことが出来ますよね。格闘ゲームも同じだと思います。
スト2から作られた基礎的な理論が、スト5ではどのように活かされ、逆にどの部分に破綻がきたしているのか。そんなことを自分なりに考えたりするのも、また格闘ゲームの醍醐味ではないでしょうか?
そんなこんなで始めます。
・「地上戦」とは何か
僕なりの解釈としては、
「地面にいるキャラクター同士の技の振り合い」
と考えています。
では何故技を振るのか?
それは…
「相手に多く技を当てた方が勝ちやすいから。」
体力を減らすゲームの構造上、
基本的には相手に技を当てる回数が多ければ多いほど、勝ちやすくなるのは言うまでもありませんね。
ではどうやったら相手よりも多く技を当てられるのか。
そこで大事になってくるのが「技の三すくみ」です。
・「技の三すくみ」
技の振り方には大まかに三種類あります。
この考え方は既に“古典”と言っても過言ではないのですが、国語を理解するのに古典が大切なのと同様、格闘ゲームでも基礎的な考え方になっています。
①当て技
②置き技
③差し返し技
の三種です。
①当て技
その名の通り、踏み込んで打撃を当てにいく技の振り方。
リュウの中pを2目盛り分だとした場合、数直線で表すとこんなイメージになります。
この場合、技の当たる場所までぐっと踏み込んでからボタンを押すことになります。
②置き技
相手の踏み込みを読んで、予め技を“置く”振り方。
この場合、ボタンを押す瞬間はまだ相手が技の範囲にいません。
しかし相手が前進してくるところに打撃が当たる、
これが“置き”の原理です。
③差し返し技
相手の置き技の硬直に技を“差す”振り方。
相手がこちらの前進を読んで技を置いてきます…
そこで相手の伸びた手を殴る!
この場合も、実は本来技が届く範囲ではありません。
攻撃が空振りして食らい判定が前に出ている所を攻撃しているのです。
・それぞれのまとめ
技の振り方には三種類あると言いましたが、現象的な視点から言えば2つしかありません。
「技が当たる距離でボタンを押す」
「技が当たらない距離でボタンを押す」
のどちらかになるわけです。
特に置き技と差し返し技は、
本来「技が当たらない距離でボタンを押す」という意味では同じことをしています。
ただし相手のどの行動を読んで技を振るのかによって、実際は用途が異なるわけです。
つまり置き技と差し返し技は本質的に言えば、同じものと言えます。
そのため置き技が差し返しの形で当たることも、そのまた逆もあり得るわけです。
またそれぞれの技の振り方にはリスクリターン、難易度などの要素が入り込みます。
まずは当て技。
当て技は必ず“踏み込む”ことが求められます。
踏み込むためにはレバーを前に倒す必要があり、この時点でかなりのリスクを負っています。
その代わりラインを上げることが出来る上、技をヒットさせていた場合は大きなリターンを得ることが出来ます。
次に置き技。
置き技の場合、技の全体フレーム分硬直が発生し、そこを殴られる場合があります。
踏み込みほどはリスクがありませんが、技によっては差し返しやカウンターのリスクが付きまといます。
最後は差し返し技。
相手の技が空振るまでガードを入れることが出来るため、非常にリスクが小さく済みます。
ただし、相手の技によっては見てから差し返すのが困難であったり、差し返せたとしてもリターンが少ない場合が多かったりします。
・つまり地上戦の基本は…?
地上戦の基本は“置き技”です。
理由としてはリスク、リターン、難易度のバランスが良いこと。
もちろん実際は“置き技”だけでかなりの分量になるくらい、使い方の幅が広いものです。(弱攻撃、中攻撃、強攻撃で、それぞれの置き技の用途がまた少しだけ異なります。)
幅が広いということは自由度が高い、すなわち差が出やすいとも言えます。
・時代が変われば仕組みも変わる
時代が移り変わるにつれて、格闘ゲームには新しい要素がどんどん追加されました。
これによって“古典”の理論が通用しなくなってしまったのです。
次回はこのイレギュラーな要素から、ストリートファイターVを捉え直していきましょう!
さらにストリートファイターVへの理解が深まるのではないかと思います。
どんな要素で今日解説した三すくみの仕組みが機能しづらくなってしまったのか…
考えてみてくださいね!